K-ABCとは
Kaufman Assessment Battery for Children をK-ABCと略して呼んでいます。Kaufman, A.S. & Kaufman, N.L.(1983)により作成されました。日本では、松原・藤田・前川・石隈(1993)により標準化され、K-ABC心理・教育アセスメントバッテリーとして丸善メイツより発売されています。
その特徴は、子どもの知的能力を、認知処理過程と知識・技能の習得度の両面から評価し、得意な認知処理様式を見つけ、それを子どもの指導・教育に活かすことを目的としていることです。適用年齢は、2歳6ヶ月から12歳11ヶ月となっています。
KABC-Ⅱとは
カウフマン博士夫妻によって、米国版K-ABCが開発されたのは1983年、その改訂版であるKABC-Ⅱは2004年に刊行されました。日本版K-ABCは、米国版に10年遅れて1993年に標準化され、2013年に日本版KABC-Ⅱが刊行されました。
日本版KABC-Ⅱは、藤田和弘、石隈利紀、青山真二、服部環、熊谷恵子、小野純平により標準化された、日本版K-ABCを継承・発展させた新機軸の心理・教育アセスメント手段であり、認知尺度のみならず、基礎学力を測定できる個別式習得尺度を備えています。
K-ABCにはない日本版KABC-Ⅱの利点として、
- カウフマンモデルおよびCHCモデルという2つの理論モデルに立脚していること
- 認知処理を、継次処理と同時処理だけでなく、学習能力、計画能力の4つの能力から測定していること
- 適応年齢の上限が18歳11カ月まで拡大されたこと
- 行動観察チェックリストが下位検査ごとに設けられていること
以上が,従来のK-ABCから発展させた日本版KABC-Ⅱの特徴といえます。
参考となるサイト
丸善KABC-ⅡホームページのKABC-Ⅱの概要をご覧ください。
関連図書
- 前川久男編(2003)K-ABCアセスメントと指導―解釈の進め方と指導の実際 第6版.丸善メイツ.
- 藤田和弘・青山真二・熊谷恵子編(1998)長所活用型指導で子どもが変わる:特殊学級・養護学校用.図書文化社.
- 藤田和弘監修,熊谷恵子・青山真二編(2000)長所活用型指導で子どもが変わる〈Part2〉:国語・算数・遊び・日常生活のつまずきの指導.図書文化社.
- 藤田和弘監修,熊谷恵子・柘植雅義・三浦光哉・星井純子編(2008)長所活用型指導で子どもが変わる〈Part3〉:認知処理様式を生かす各教科・ソーシャルスキルの指導.図書文化社.
- 藤田和弘監修,熊谷恵子・高畑芳美・小林玄編(2015)長所活用型指導で子どもが変わる〈Part4〉:認知処理様式を生かす遊び・生活・行事の支援.図書文化社.
- 藤田和弘監修,熊谷恵子・熊上崇・小林玄編(2016)長所活用型指導で子どもが変わる〈Part5〉:KABC-Ⅱを活用した社会生活の支援.図書文化社.
- 小野純平・小林玄・原伸生・東原文子・星井純子編(2017):日本版KABC-Ⅱによる 解釈の進め方と実践事例.丸善出版.